ボックストート / 7年越しに感じる、良さ。
- AZZWELL
- 2021年5月16日
- 読了時間: 3分
更新日:6月19日
今から7〜8年前のこと。
贈り物として作成した箱型のボックストートバッグ

そり立つ箱型のシルエットに、すっきりとした表情のトートバッグ。
革はイタリア・バダラッシ社のミネルバボックス。
その生成りを使い、ひと針ずつ仕立てた“ボックストート”です。
年月を経て、先日ふと「まだ使ってくれている」と聞き嬉しくも少し誇らしい気持ちになりました。
そのバッグは今も現役で、出番が多いとのこと。
使い勝手の良さはもちろん、生成りだった革はすっかり飴色に変化し、持ち主と時間を共有したような佇まいを見せていました。

ミネルバボックスは植物タンニン鞣しの革らしく、使うほどに味わいが深まります。
もともとやや柔らかく、手に馴染む質感。
そのナチュラルな生成りは、日光や手の脂を吸い込みながら徐々に色づき、唯一無二の風合いへと育っていきます。写真にあるような色味は、その過程を素直に映し出したものです。
このボックストートは、見た目以上に多くの工夫を詰め込んでいます。
内装には裏地をあしらい、片側にはファスナーポケットを設置。
鍵や小物を仕分けるのに便利な仕様です。
開口部にはホックを取り付け、口をしっかり閉じられる安心感も備えました。
そしてこのバッグならではのポイントが、両サイドに取り付けた短めの帯。これは内容量が少ないときに内側に軽く引き絞ることで、バッグの形状がコンパクトに変化するというもの。荷物の量に応じてシルエットを整えられる、ちょっとした工夫です。
さらに、帯の先端にはナスカンを取り付けてあり、鍵などを吊るしてキーホルダー代わりにも使える仕様になっています。

この形はその後も、黒やネイビーなどの革で少しずつ改良を加えながら作り続けています。
黒や、ネイビーもその一例。
ディテールやサイズ感、ステッチの取り回しに微調整を重ねてきましたが、基本の構造や考え方は今も変わりません。
こうした「少しずつ育てていく定番」は、作り手としてもとても大切にしたい存在です。
一見コンパクトながら、底面がしっかりとした四角形なので見た目以上の収納力があります。
財布やスマートフォンはもちろん、ポーチや手帳なども収まり、日常使いにちょうどいいバランス。
見た目は控えめですが、その中に詰まった工夫と素材の良さが、じんわりと伝わるようなバッグです。
手にした人とともにゆっくりと時間を重ねていける。
そんな革製品をこれからもつくり続けていきたいと思います。


AZZWELL - Leather & Metal Craft -
国分寺市南町2-1-27 1F
銀製品, 革製品, 革小物,ベルト, 財布, 鞄 製造