sample bag / 特殊加工した革鞄
- AZZWELL
- 2021年2月23日
- 読了時間: 3分
更新日:9月2日
緊急事態宣言下の、静かな休日。
外出もできず、時間もあるので久しぶりに昔の写真を整理してみました。
こういう作業は面倒くさいようでいて始めてみると意外と楽しく、20年近く前に作ったものの写真もたくさん出てきて、当時の空気感まで蘇ってくるような気がします。
革鞄加工の幅が広がった時代
当時はアパレルブランドさんのOEMで、鞄や小物、アクセサリーをよく作らせていただいていました。
今ほどファッション業界が厳しい状況ではなくブランド側も予算に余裕があり、コストよりも“面白いことをやる”という姿勢が強かった印象です。
「こういうことやってみたいんだけど」「面白ければ何でもいいよ」
そんなふうに、新しいアイデアや挑戦的な仕様を形にする機会が多く本当に貴重な経験をたくさん積ませてもらいました。
丘染め、柿渋、藍染といった日本的な染めから、下地の風合い調整、色指定、さらには革1枚丸々にインクジェットプリントをかけたり、レーザーで文字や柄を彫ったりと、加工の幅もどんどん広がっていきました。
中でも一番「面白かった」と今でも感じるのが、ダメージ加工全盛期の頃
錆加工
サンダーやヤスリで削るダメージ処理
革製品をドラムに入れて“製品洗い”→乾燥
ペンキ塗布
バーナーで炙る…
今見ると「そこまでやるか?」という加工が当たり前で、せっかく作った新品の製品を、わざわざ“汚す”のが仕事という、なんとも不思議な時代でした。
過酷で忘れられない特殊加工
数ある中でも、今でも忘れられないのが――ある特殊な液体を使った“ビンテージ風染め加工”。
まずタンニン鞣しの革を独特な編み込み(これがまた説明しづらい構造)に仕立て、それを数日かけて液体に漬け込みます。
この液体、仕上がりの色が濃度や漬け時間によってまったく変わってしまい、しかも編み込んだ構造が漬け込むと次第にゆるみ、形が崩れてしまう。
そのたびに再調整。乾燥ではさらに熱によって縮みや硬化も起きて、最終的には1割ほどがロスになったほど。
仕上がりは、まるで何十年も使い込まれた革のような、風格ある“古さ”。
ただし加工は屋外。真冬。独特の匂い。手や服につくと落ちない。寒い。くさい。とにかく過酷でした(笑)。
今のものづくりに繋がる姿勢
今、自分のブランドでつくっているものはそういう時代の反動もあってか、余計な装飾や奇をてらった加工はあまりしていません。
普遍的で、できる限り長く使えるもの。
派手さよりも、素材そのものの良さや仕立ての精度を大事にするようになったのは、あの頃の“やりすぎの経験”があるからかもしれません。
※写真は当時制作した、特殊加工を施したサンプルバッグです。
今見ると、「やり切ってたなあ」と笑ってしまうけど、あの熱量と混沌があって今がある。
そんな気がします。


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