バックル整理
- AZZWELL
- 2020年11月17日
- 読了時間: 3分
更新日:6月14日
年末も近づき、少しは作業場も「お店らしい」雰囲気に整えようと、配置換えを兼ねて整理を始めたところ──いろいろと出てくるわ出てくるわ、思わぬ発掘作業のようになってしまいました。
バックル、ナスカン、コキ、その他のパーツ類。
それぞれメッキの種類ごとに分けているはずが、いつの間にか埋もれていたり、別の箱に紛れていたりして、思っていた以上の量に少々驚きました。
とても一気には手がつけられそうにないので、まずは「バックル」だけに絞って整理を進めることにしました。

箱を開けてみると、出てくるのは今使っているものから、いつ仕入れたのか記憶があいまいなものまで様々。
中には誤発注で100個以上もまとめて届いてしまったバックルが未使用のまま丸ごと出てきたり、15年以上前に作った懐かしいデザインがひょっこり顔を出したり──
ひとつひとつ手に取るたびに、その当時の制作の記憶が蘇ってくるような時間になりました。
意外なことに、どのバックルを見ても「これはあの時のやつだ」とすぐに思い出せるものです。
たとえば、あるバックルは、浅草まで足を運んで現場で特殊メッキをかけてもらったものでした。
金具に合わせて加工方法を相談しながら、その場で職人さんにお願いしたことをよく覚えています。
別のバックルは、自分で塗装を施してわざと錆びさせ、使い込んだような風合いに仕上げたもの。
あるいは「このAG(アンティークゴールド)は黄色味が強すぎるな」と思い、メッキ屋さんにもう少し濃く、落ち着いた色味で仕上げ直してもらったものもありました。
数は少なくても、こちらの細かな要望に真摯に応えてくださる業者の方々のおかげで、素材の持つ表情を引き出したり、狙った質感を再現できたりしてきたのだと、あらためて感謝の気持ちが湧いてきました。
同時に、こうしていろいろなバリエーションのバックルを見返していると、結局のところ一番使いやすく、完成品としてバランスが取れるのはシンプルなニッケル系のメッキだなという結論にも行きつきます。
あれこれ試して、遊んで、工夫してきたからこそ、あらためて“定番の良さ”が見えてくるというか──
基本に戻るという感覚に近いのかもしれません。
まだ全体の整理は終わっていませんが、今回のバックル整理をきっかけに、これまで試してきた仕上げや加工法についても少しずつ記録としてまとめていこうと思っています。
何かの制作に使えるかもしれませんし、「こういうのありますか?」というお問合せにもより的確に応えられるようになるかもしれません。
作業場の整理という何気ない作業が、思わぬ振り返りの時間になった一日でした。