「経年変化球」─野球ボールをミネルバボックスで仕立てる
- AZZWELL
- 2024年3月25日
- 読了時間: 2分
更新日:10月17日
ミネルバボックスと野球ボール
硬式野球ボールを、イタリア・バダラッシ社の高級レザー「ミネルバボックス」で製作しました。
一見すると遊び心あふれるアイテムですが、その背景には革という素材の奥深さ、そして職人技が凝縮されています。
本来の役割を終えた「ボール」という形に、新たな価値を与えたこの一球についてご紹介します。
革好きには言わずと知れた植物タンニン鞣しの高級レザー「ミネルバボックス」。
顔料を一切使わず、ナチュラルな仕上げが特徴で、手に取った瞬間から上質さが伝わります。
使い込むほどに深い飴色の艶が現れる「経年変化」を楽しめるのが最大の魅力です。
写真左がMLB公式ボール、右が今回製作した「生成り」のミネルバボックス製ボール。

経年変化する「変化球」
野球のボールというのは、実は極めて構造が複雑です。
2枚の8の字型の革を、螺旋状に縫い合わせる独特の構造。
加えて、球体を保ちながら美しく仕上げるには革の厚み・コシ・柔軟さなどあらゆるバランスが問われます。
今回使用した生成りの「ミネルバボックス」は、顔料を一切使わずナチュラルな仕上げが特徴のレザー。
製作当初は明るく素朴なベージュトーン。
しかし、ここからが本番です。
使う人の手の油、空気中の湿気、光……
環境に応じてゆっくりと色味が深まり、飴色の艶がにじみ出てきます。
いわばこのボールは、「経年変化する変化球」。
握るたびに質感が変わり、飾るだけでも表情が出る。
道具であり、インテリアでもあり、素材の実験場のようでもある。
そんな一球です。
遊び心と技術
この生成りのボールに、明確な「使い道」はありません。
ただ、そのまま飾るのも良し。
手元に置いて時々握って革の変化を楽しむも良し。
本棚の上、デスクの隅、ヴィンテージグローブと一緒にディスプレイ……そんな使い方も粋です。
素材の良さと形の面白さ。
両方が合わさって言葉では説明しきれない魅力が生まれます。
野球ボールという「完成されたもの」を、あえて別素材でつくりなおすこと。
このボールは、いわば「遊び心の詰まった一球」
けれど、素材は本物、技術も妥協なしです。



