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小さな祈りを包む、特別なお守りケース

  • AZZWELL
  • 2022年3月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月20日

特別な依頼 ― お守りを収める革ケース

革の仕事をしていて嬉しい瞬間のひとつは「以前ご購入いただいたお客様が、再び訪ねてきてくださる」こと。今回は小売を始めて間もない頃に飛び込みでお越しくださった外国のお客様から、1年半ぶりに再びオーダーをいただきました。


今回のご依頼は、「小さく折り畳んだ紙(お守りのようなもの)を入れるシンプルな革のケースを作ってほしい」というものでした。

しかも「生成り(ナチュラル)」の革で、できる限り薄く、軽く、日常的に身につけられるようなものを、というご希望です。


シンプルさの中に宿る細部へのこだわり

サイズは一緒に相談しながら、紙をしっかり収納できる最小限の寸法を割り出しました。

また、お守りを肌身離さず持ち歩きたいとのことでケースにはベルトに通すためのループをつけることに。

これにより、ベルトに固定して常に身につけていられるような設計になっています。


フラップの留め具などもあえて設けず、革のループを通すだけの仕様にすることで、よりシンプルに、より軽快に仕上げました。


形状自体はとてもシンプルですが、だからこそ細部のバランスが重要です。

実際、今回のケースも何度か試作を重ね、最適な革の厚みやフラップの角度、ループの位置などを調整しました。生成りの革は繊細な印象がありますが、その分、経年変化で育っていく楽しさがあります。


完成したケースは、手のひらに収まるほどのサイズで、重さも感じさせません。それでいて、大切な中身をしっかりと守る役目を果たしてくれます。

お守りケース

今回は中に入れるものの実物を見せていただけなかったので、ある程度こちらで用途を想定しての製作となりましたが、完成品を手に取ったお客様がとても喜んでくださったのが印象的でした。


革製品というのは、「何を入れるか」と同じくらい「どう持ちたいか」が重要だと思っています。

ただ単に物を収める“箱”としてではなく、身につけるという“行為”そのものが、使う人にとっての意味や価値になる。

今回のように、「祈り」や「願い」がこもった紙を入れるケースだからこそ、なおさらそう感じました。


顔の見えるお客様とのつながりが生む力

もともと当工房では、長く製造、卸売りが中心でした。

コロナ以降にようやく小売を始め、今はまだ週末営業なども実現できていないのですが今回のように「顔の見えるお客様」からのリピート注文を受けてみると、やはり自分で作ったものが誰かの手元で役立っているという実感が何よりの喜びだと改めて感じました。


実際、今回のご注文も、ふだんの業務の合間を縫っての製作だったため時間的には余裕があったわけではありませんが、それでも試作から完成までずっと気持ちよく作業ができました。


祈りや想いを包むための小さなケース。

それは、華やかではないかもしれませんが使う人にとってはとても特別な存在です。

手に触れるたびに気持ちが整うような、そんな道具になってくれたらと思いながら今回も一つひとつ手を動かしました。


またいつか、お守りケースがくたびれた頃に「またお願い」と言っていただけるよう、これからも一つ一つのご依頼に丁寧に向き合っていきたいと思います。



AZZWELL - Leather & Metal Craft -

国分寺市南町2-1-27 1F

銀製品, 革製品, 革小物,ベルト, 財布, 鞄 製造

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