sample bag / リクエストを反映したレザーミニトート
- AZZWELL
- 2021年3月16日
- 読了時間: 3分
更新日:3 日前
レザーミニトートの過去作品
写真フォルダを見返していたところ、かつて製作したレザーミニトートのサンプルが出てきました。
振り返ってみると、本当に多くのミニトートを形にしてきたことに気づきます。
今回ご紹介するのは、その中でも「使われることはなかった」一作。
ですが、自分にとっては大切な記録でもあります。

ショルダーとしても使える仕様
今回のこのモデルも、リクエストに応えるかたちで製作した一作。
結果から言うと使われることはなかったのですが、自分としてはなかなか頑張った記憶があります。
肩からも掛けられるようにしてほしい
というご要望には、両サイドにDカンで対応。
必要に応じて肩紐を付け外しできるようにしました。
トートとしてもショルダーとしても使える、柔軟な仕様です。

軽量化とトコ処理の工夫
軽くしたいから裏地はいらない、でも革の粉がつくのはイヤ
革の裏面(トコ面)から粉が出るのは避けたいとのことで、内装は裏地なしで軽量化しつつ、ウラ処理(トコ磨き)を施して粉の出にくい仕上げに。
ちょっと手間はかかりますが、見えないところにも気を配るのがこういう小物づくりの醍醐味でもあります。
ディテールを引き立てるアクセント
シンプルすぎるから“なにか”欲しい…
とのことで、白の鹿革で作ったピスネームを外付け風に折り込み。
革の自然な風合いを活かしながら、どこか可愛げもあるアクセントにしてみました。加えて、ハンドルの根付け部分には白糸で手縫い留めを追加。
装飾性と実用性、両方を少しだけ足しています。
底の縫い目の出っ張りが気になる
これは構造上なかなか難しい問題ですが、「量産しない前提」ということで、思い切って一体型に。革の取り都合や効率を完全に無視した、贅沢な仕様です。


サンプルとして残るものの意味
こうしてすべての要望を組み込んで「これなら!」という形に仕上げたのですが……
結局使われることはなく、そのまま保管棚に。
たぶん今後も使われることはないんじゃないかという予感が最初からあって、だからこそ高価な輸入革ではなく、比較的手頃な国内の革を選びました。
ここ最近は、そういう「おそらく使われないけど、形にしておきたい」という気持ちで作ったサンプルが少しずつ増えてきていて、このミニトートもそのひとつ。

いまこのトートは、工房の奥にある“サンプル山”のどこかで静かに眠っています。
誰かに届く予定もないまま、ただ「作った」という事実だけがそこに残っている。
でも不思議なもので、そういう鞄たちのことを、ふとしたときに一番思い出したりします。
AZZWELLでは、こうしたサンプルづくりを通じて学んだことを日々の製品に活かし、長く愛用いただける革製品をお届けしています。
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