Archive サドルレザートートバッグ
- AZZWELL
- 2021年2月25日
- 読了時間: 3分
更新日:9月2日
今でこそ、いろいろなタイプの鞄を試作しては改良を加え商品として展開していますが、ふとしたタイミングで過去の鞄を見返すと「ああ、こんなのも作ってたな」と思い出すことがあります。
サドルレザートートバッグ ― 過去の試行錯誤から生まれた一品
今回のは、かなり以前に製作したサドルレザートートバッグ。
見た目にも中身にも“革らしさ”がぎっしり詰まった、どっしりとした存在感のある一品です。
写真がやや古くて見づらいのですが、そのぶん「時間を経ても埋もれない存在感」が伝わるかもしれません。

革そのものを持ち歩く感覚
素材にはコシのある厚手のサドルレザーを使用。
本体とハンドルをすべて同じ革で統一し、裏地には豚スエードを全面に貼り合わせました。
見えない部分にも手を抜かない仕立てで、触れた瞬間に感じる高級感があります。
実際に持ってみると「鞄を持つ」というより「革そのものを持ち歩いている」感覚。
張りのある質感やずっしりとした重量感は、量産品には出せない独特の存在感を放っています。
まさに“堅牢”という言葉が似合うトートバッグです。

バケツ型をベースにした縦長シルエット
形状はシンプルながらも彫刻的な雰囲気を持つ縦長のバケツ型。
部屋に置いてあるだけでオブジェのように成立してしまうのも、この鞄の特徴です。
このデザインでは縦型・横型・ミニ・特大と、さまざまなサイズを試作しました。
用途や好みに応じて展開していた時期で、振り返れば「革をどう見せるか」にとことん向き合っていた時代でもあります。

工房の棚に今も鎮座する存在感
写真のバッグは、今も工房のサンプル棚に現役で置かれています。
あまりに堅牢なつくりのため、他のサンプルに埋もれることもなく、常に目に入る位置にあるのです。
気が向いたときに「また使ってみようかな」と思わせる存在感。
こうした鞄は実際そう多くはありません。
縦型モデルは、冗談抜きでフランスパンや大根がすっぽり収まるサイズ感。
もちろん食材を運ぶために作ったわけではありませんが、そうした自由な発想を受け入れてしまう懐の広さも、この鞄の魅力のひとつです。

サドルレザーならではの育ち方
堅牢につくられた鞄ほど、日々使うことで革が馴染み、表情が変わっていきます。
傷や皺さえも「自分の道具」として馴染んでいく。
サドルレザーはその変化を存分に楽しめる素材です。
いつかこのモデルも、現在の仕様に合わせて改良し、新しい形で復活させてみたい。そんなことを考えながら、今日も工房の棚で静かに存在感を放つ サドルレザートートバッグ を眺めています。
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