エルクレザー バッグ|唯一無二の特大巾着
- AZZWELL
- 2021年3月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年9月2日
かなり前に作ったバッグですが、ふと写真を見返して、あらためて「よく作ったな……」
とつぶやいてしまいました。今回紹介するのそんなエルクレザー バッグです。
エルクという特別な革
エルク――フィンランドなどに生息する野生の大鹿。
その革は独特のふくらみと柔らかさを持ちつつ、驚くほどの厚みがあります。
一般的な鹿革とはまったく別物で、革の扱いに慣れていてもその質量とコシには圧倒されます。
そんなエルクを使って、思いつきのように仕立ててしまった特大サイズの巾着バッグ。
今でも「なぜあの時、これを作ろうと思ったのか」は自分でも謎です。
おそらくもう二度と作らない(作れない)鞄のひとつです。

エルクレザー バッグを仕立てる難しさ
このバッグを作る際、とにかく苦労したのが「厚み」。
超肉厚のエルクに針を通すだけで、工房の針が何本も折れました。
縫製の途中で何度もミシンのテンションを調整し、それでも縫い目が波打たないようにひたすら革のコシと格闘しながら作業を進めました。
機能と装飾を兼ねるディテール
中の写真は残っていないのですが、内袋には1mm厚の鹿革を使い、半月型のファスナー付きポケットを仕込んでいます。
全体のボリュームとのバランスを考えて、あえてこの構造に。
さらにバッグの側面にはマチを設け玉縁まで施すという、今思えば我ながら無謀ともいえる仕様。
仕立ての難易度はかなり高く、「なぜここまでしたのか……」と過去の自分に問いかけたくなります。
開口部にはシルバーのピラミッドスタッズを使用。
これはホックの代わりとして、ヴィンテージのチェンジボタンを模した意匠にしています。
金具ではなく“装飾と機能の中間”のようなこのパーツが、革の質感と不思議とよく馴染みました。
肩紐もエルクを使い、三つ編みに。
見た目は素朴ですが、手にしたときの存在感と重厚さは格別です。
一度きりの制作と存在感
このエルクレザー バッグは、おそらくもう二度と作ることのない一品です。
なぜ当時このような大きな巾着を仕立てようとしたのか、自分でも理由ははっきりしません。
ただ「作って満足した」という達成感だけが残りました。
写真の背景には白い鹿革の巾着バッグも写っていますが、それと比べても今回のエルク製は圧倒的に迫力があり、重厚な存在感を放ちます。結局このバッグはサンプルとして保管され、実際に使用されることはありませんでした。
工房には今も未使用のエルク革が一枚残っています。
しかし見てしまうと新たに挑戦したくなるため、できるだけ目を合わせないようにしています。

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