ベルト革選び|種類ごとの経年変化と魅力を解説
- AZZWELL
- 1月25日
- 読了時間: 7分
ベルトに使われる革の種類と経年変化の違いを知る
ベルトは装いの中でさりげなく、しかし確実に印象を左右する存在です。
一見すると同じように見えるベルトでも、使用する革の種類によって質感や艶、厚み、そして経年変化の表れ方は大きく異なります。
本記事では、ベルトに使われる代表的な革の種類と、それぞれが時間とともにどのような経年変化を見せるのかを、実際の使用例を交えながらご紹介します。
下の写真は、左からサドルレザー、ブッテーロ、ブライドルレザーを使用したシルバーバックル付きベルト。ブッテーロは新品、サドルとブライドルは実際に使い込まれた経年変化後の姿です。
同じシルバー925バックルでも、革の違いによって佇まいがまったく異なることが分かります。
新品時の美しさだけでなく、時間とともにどう育ち、どのような表情に落ち着いていくのか。
シルバーバックルと組み合わせる革選びの参考に少しでもなれば幸いです。

サドルレザー:ベルトに使われる革の種類と力強い経年変化
特徴:張りとコシ、圧倒的な存在感
サドルレザーは、厚みと強い繊維質を持つ、いわば「道具として完成された革」。
新品時は硬質で無骨な印象ですが、それこそが長く使うための前提条件でもあります。
経年変化:黒でも深化する野性的な艶
使い込むことで張りのある革は柔らかく馴染み、色味は時間とともに深く濃く変化していきます。
表面に現れる艶はブッテーロのような滑らかさとは異なり、摩擦と体温によって生まれる、野性味と重厚感を帯びた力強い表情へと育っていきます。
サドルレザーの醍醐味は、まさに「使い手が育てる楽しみ」にあります。日々の動作による擦れや癖がそのまま革に刻まれ、同じ革・同じ形であっても、数年後にはまったく異なる表情を見せてくれます。
掲載写真は、10年以上使用したベルト(左)と未使用のベルト(右)の比較です。
未使用時と比べると柔軟性が増し、黒の色味はより深みを帯び、日常の摩擦や癖が「味」として現れているのがお分かりいただけると思います。
また、繊維密度の高いベルト専用の原皮を使用し、幾度も磨き上げたコバは使用によるわずかな色落ちは見られるものの、長年使っても変わらない堅牢性を保ち続けます。(3枚目写真:左が未使用)



シルバー925との相性:最も完成度の高い組み合わせ
経験上、シルバーバックルと最も相性が良いと感じているのがサドルレザーです。
シルバーの重量感と革の剛健さが正面からぶつかり合い、揺るぎない説得力を生みます。
おすすめスタイル・バイカースタイル・ワークウェア、デニムを軸にしたスタイリング全般
ブッテーロ(イタリア):宝石のような光沢と万能の気品
特徴:イタリアらしい鮮やかな発色と透明感
イタリア・ワルピエ社のブッテーロはタンニン鞣しでありながら、まるで内側から発色しているかのような透明感を持つ革です。
20年以上の製作経験の中で1万本以上のベルト製作をはじめ財布や革小物まで幅広く使用してきましたが、なんと言ってもその最大の魅力は上品さと汎用性を非常に高い次元で両立している点にあります。
経年変化:劇的な光沢の進化
使い込むほどに色味は落ち着き、表面には滑らかで整った光沢が現れます。
ブッテーロの艶はサドルレザーのような野性味とは異なり、あくまで端正で静かな変化。革全体が均一に育ち、品のある佇まいを保ったまま深みを増していくのが特徴です。
掲載写真は、ブッテーロを使用した財布の新品と2年使用後の比較。
透明感ある黒に自然な艶が生まれ、色の奥行きが増している様子から、この革が「長く使うことで完成していく素材」であることを感じていただけると思います。
ベルトとして使用した場合もこの変化の方向性は共通しており、腰回りに馴染みながら清潔感と上質さを失わずに育っていきます。


シルバー925との相性:鏡面仕上げが織りなす「静」と「動」
「革の宝石」と称されるブッテーロの光沢はシルバー925の鏡面仕上げバックルと組み合わさることで互いを引き立て合います。
革の艶やかな“動”と、シルバーの研ぎ澄まされた“静”。
この対比が重なることで、過度に主張することなく、それでいて確かな存在感を放つバランスが生まれます。
特にフォーマル寄りのスタイルでは、彫りや装飾を抑え、面構成と輪郭の美しさで見せるバックルがブッテーロの均質な艶とよく調和します。
当工房でも、そうした前提で設計したシルバー925バックルを製作しています。
おすすめスタイル
・ジャケット × スラックスのフォーマル寄りスタイル
・上質なデニムを合わせた、大人のクリーンカジュアル
ブライドルレザー(イギリス):堅牢な革が見せる静かな経年変化
特徴:馬具由来の堅牢性と密度ある繊維質
ブライドルレザーは、もともと馬具のために生まれた革です。
最大の特徴は、圧倒的な繊維密度と厚み、過酷な使用環境に耐える堅牢性を備えています。
当工房で使用しているブライドルは、長時間ピット槽でじっくりと鞣されたもの。
重厚な革でありながら、使い始めからどこかしなやかさを感じられるのはこの工程によるものです。
一般的な、ロウ(ブルーム)を強調したタイプではなく完成度の高いブライドルを使用しています。
経年変化:沈み込むような奥行きある輝き
ブライドルレザーのエイジングは、決して派手ではありません。使い込むにつれて表面が磨かれ、艶はゆっくりと、内側から滲むように現れてきます。
色味は次第に落ち着き、深みを増し、革全体がどっしりと沈み込むような表情へ。
使うほどに「良さが分かってくる」――そんな言葉が最も似合う、玄人好みの経年変化です。

シルバー925との相性:装飾ではなく“道具”として
ブライドルレザーとシルバー925の組み合わせは、華やかさを誇示するためのものではありません。
無骨な革の存在感と質量を感じさせるシルバーの重みが合わさることで、あくまで静かに、しかし確かな説得力を持って佇みます。
バイカーやワークスタイルはもちろん「流行ではなく、本物を身につけたい」大人の選択として成立する組み合わせです。
当工房のブライドルについて
当工房で使用しているブライドルレザーは一般的な“ブルーム(ロウ)を強調した分かりやすい表情”のものではありません。
革質そのものの良さを重視し、落ち着いた表情と奥行きある艶を備えたタイプを採用しています。
下記写真では、サドルレザーと並べて比較していますが、サドルの黒(右側)とは異なる、落ち着きある黒と独特の質感をご覧いただけると思います。
複数社のブライドルレザーを実際に使い比べた中で、「これが一番だ」と確信したモノを選んでいます。
派手さはないものの、長く使い続けるほどに信頼が増していく――
そんな、本物志向の方に向けたブライドルレザーです。
おすすめスタイル・過度に主張しない大人のカジュアル・「分かる人にだけ伝わる」装い

革とシルバーが育つ時間を日常に
ベルトは、毎日使い続けることで完成していく道具です。
ブッテーロの艶やかな透明感、サドルレザーの力強い変化、ブライドルの静かな深み。
それぞれの革は、使い手の時間を受け止めながら、確かな表情へと育っていきます。
そこに組み合わさるシルバー925バックルは、装飾ではなく“共に経年変化するパーツ”
革と銀が並んで歳月を重ねることで、一本のベルトとして完成度を高めていきます。
流行ではなく、これからの時間を基準に選ぶ。
自分の使い方で育てる一本をお探しの方に、オーダーベルトという選択肢をおすすめします。



