名もなき職人の手仕事|ものづくりの背景
- AZZWELL
- 2024年1月12日
- 読了時間: 2分
更新日:8月30日
日々の制作の中で気づくこと
日々の制作の中で、何気なく手に取るバックルやパーツ。
そのひとつひとつが多くの職人や加工所の手を経ていることを、ふとした瞬間に思い出します。
今日は、そんな“名もなき職人の手仕事”を少し書きたくなりました。

小さなバックルを支える数々の工程
たとえばバックルを例にとると、まずは型をもとに真鍮などを鋳造してくれる鋳物屋さんの存在があります。そこから、表面を丁寧に磨き上げて光を宿す磨き屋さん、質感や色味に深みを与えるためにメッキ屋さんが仕上げを施します。
場合によっては、塗装のニュアンスにこだわるため塗装屋さんにも依頼します。
表面的には小さな金具に見えるものでも実に多くの工程が重ねられています。
革パーツに宿る職人の手仕事
革のパーツも同様です。
大量に同じ形を作りたいときはまず抜き型屋さんに希望の形の金型を制作してもらいます。
そしてその型を使って革を抜くのが裁断屋さん。
抜いたパーツのコバを整えるために漉き屋さん、さらに革全体を大きく薄く漉いてくれる革漉き所もあります。名入れなどには箔押し屋さんの技術が欠かせません。
ものづくりの土台を支える存在
こうした職人や加工所の多くが、ここ数年で姿を消しつつあります。
後継者不足、原材料の高騰、需要の変化。
理由はさまざまですが、かつて当たり前にお願いできた加工先が急に廃業、ということがこの数年で何度もありました。
金具、革、芯材、接着剤などを供給してくれる材料屋さんや付属屋さんも同じです。
注文ひとつで届けてくれる便利さの裏には、専門性を持つ仕入れ担当の方たちの存在がありました。
小さなロットでも応じてくれた融通や急ぎの時に間に合わせてくれたことが今となっては貴重な記憶になりつつあります。
私たちが「一点モノ」や「クラフト」として手にするアイテムの背景には、数十人、数十工程の技術が存在しています。今手にしているバックルも、まさにそう。
検品をしながらその裏にある職人たちの顔が浮かびました。
どれだけ自分で作れるようになっても、すべてを一人で賄うことはできません。
むしろ、信頼できる人たちとつながりながらいいものを一緒に作っていく。
そんな環境こそが自分にとっての「ものづくりの土台」なのだと改めて感じました。



