【報われなかった力作】リクエスト全部入りのミニトート-1
- AZZWELL
- 2021年2月26日
- 読了時間: 2分
更新日:6月24日
ちょっとした買い物や、銀行へ行くときに――
そんな日常使いのニーズから、「ミニトートが欲しい」と頼まれて作ったバッグがこちら。

自分の中では「これぞ、全部入りの実用ミニトート」と思っていたのですが、完成後、ひとこと。
「重い」……
サンプル行き決定です。
このミニトートは、比較的初期に作ったもので、本体にはミネルバボックスを使用。
しっかりした質感とエイジングの美しさが魅力の革です。
ハンドルには、名前を忘れてしまったのですが、たしか輸入革の中でも肌あたりが良く、やや厚みのある柔らかなものを使いました。
裏地はおそらくコットンピケ。
かなり前のことなので、ちょっと記憶が曖昧ですが、それなりに高級感を意識していたと思います。

実用性を求めた声に、すべて応えるように仕様を組み立てていきました。
「貴重品入れられるようなポケットがあると良いかな〜」 → 裏地にファスナー付きポケットを設置。
「携帯が簡単に取り出せるように」 → 外ポケットを両側に配置。どちらの手でもアクセス可能。
「肩にもかけられるように」 → 持ち手をやや長めにし、柔らかい革で厚みを持たせつつ幅広に。
「鍵とかすぐ見つけられるように」 → バッグの内側上部にDカンを設け、キーホルダーが引っ掛けられるように。
「簡単に中を覗かれたり取られたりしないように」 → 開口部にはホックを取り付けて、さっと閉じられる仕様に。
ここまでやれば完璧だろうと、自分ではかなり満足していました。
「これなら文句なしだろう」と意気込んで見せたところ――返ってきたのはたったひとこと。
「重い」
確かに、ミネルバボックスに通しマチ、裏地、両サイドのポケット……
つい“しっかり作りすぎた”結果です。
革好きにとっては“頼もしさ”でも、日常のライトユースにはちょっとオーバースペックだったのかもしれません。
このミニトートも、いまでは“サンプル山”のひとつとして工房の棚に眠っています。
頼まれて作ったのに使われなかったというのは、ちょっと切ない話ですがそうやって試行錯誤したバッグが、のちに別モデルのヒントになったりすることもあるので、無駄ではないはず……たぶん。
“ちょっとした用事のためのバッグ”こそ、素材や構造のバランスが求められるものだと、改めて実感した一件でした。


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