【報われなかった力作】リクエスト全部入りのレザーミニトート-1
- 2021年2月26日
- 読了時間: 3分
更新日:4月16日
きっかけは「日常使いできるバッグが欲しい」
ちょっとした買い物や、銀行へ行くときに――そんな日常のシーンを想定して、「ミニトートが欲しい」と頼まれて製作したのがこのバッグです。
完成したとき、自分の中では「これで一通りの要素は揃った」と感じていました。
ただ、実際に使ってみるとひとこと。
「重い」……
結果として、このモデルはサンプル行きとなりました。
こうした試作も含め、現在展開している鞄については一覧でまとめています。

素材選びと構造のこだわり
本体には、エイジングの美しいイタリアンレザー「ミネルバボックス」を使用。
しっかりとしたコシと存在感があり、革としての魅力は非常に強い反面、小型のバッグに落とし込んだ際には重量という課題がはっきりと現れました。
ハンドルには、柔らかさと肌あたりを考慮した輸入革を採用し、厚みを持たせることで肩掛け時の快適さを確保。
裏地にはコットンピケを使用し、小型ながらも質感の面で妥協のない構成としています。
同じミネルバボックスでも、設計や用途によって仕上がりの印象や使い勝手は大きく変わります。
重量とのバランスを取りながら、素材の魅力を活かした別の構成については、こちらの記事でも紹介しています。

すべての要望を盛り込んだレザーミニトート
実用性を求めた声に、すべて応えるように仕様を組み立てていきました。
「貴重品入れられるようなポケットがあると良いかな〜」 → 裏地にファスナー付きポケットを設置。
「携帯が簡単に取り出せるように」 → 外ポケットを両側に配置。どちらの手でもアクセス可能。
「肩にもかけられるように」 → 持ち手をやや長めにし、柔らかい革で厚みを持たせつつ幅広に。
「鍵とかすぐ見つけられるように」 → バッグの内側上部にDカンを設け、キーホルダーが引っ掛けられるように。
「簡単に中を覗かれたり取られたりしないように」 → 開口部にはホックを取り付けて、さっと閉じられる仕様に。
ここまでやれば完璧だろうと、自分ではかなり満足していました。
「これなら文句なしだろう」と意気込んで見せたところ――返ってきたのはたったひとこと。
「重い」
確かに、ミネルバボックスに通しマチ、裏地、両サイドのポケット……
つい“しっかり作りすぎた”結果です。
革好きにとっては“頼もしさ”でも、日常のライトユースにはちょっとオーバースペックだったのかもしれません。
サンプルとして残ることの意味
このバッグはいま工房の棚で“サンプル山”のひとつとして眠っています。
使ってもらえなかったものの、決して無駄ではありません。
試行錯誤の中で得た気づきは、次のモデルや新しいデザインのヒントにつながっていきます。
軽量化を意識した革選びや構造をシンプルに保つ工夫などこの経験から生まれた改善点は少なくありません。
日常使いのバッグに必要なこと
今回の失敗から強く感じたのは、「日常使いのバッグこそバランスが重要」ということです。
革の質感や堅牢さは大切ですが、それ以上に日々持ち歩くことを想定すると、軽さや扱いやすさが優先される場合もあります。
レザーミニトートバッグというシンプルな存在だからこそ、過剰に作り込みすぎない“引き算の設計”が求められるのだと実感しました。


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