【報われなかった力作】リクエスト全部入りのレザーミニトート-1
- AZZWELL
- 2021年2月26日
- 読了時間: 3分
更新日:9月2日
きっかけは「日常使いできるバッグが欲しい」
ちょっとした買い物や、銀行へ行くときに――
そんな日常使いのニーズから、「ミニトートが欲しい」と頼まれて作ったレザーミニトートバッグがこちら。
自分の中では「これぞ、全部入りの実用ミニトート」と思っていたのですが、完成後、ひとこと。
「重い」……
サンプル行き決定です。

素材選びと構造のこだわり
本体にはエイジングが美しいイタリアンレザー「ミネルバボックス」を使用しました。
しっかりとした質感と存在感のある革で、革好きには魅力的ですが、重量面ではやや不利。
ハンドルには柔らかさと肌あたりの良さを意識した輸入革を選び、厚みを持たせて肩掛けも快適に。
裏地はコットンピケを用い、高級感を演出しました。
小さなバッグながらも素材に妥協せず、長く使えるようにと組み立てています。

すべての要望を盛り込んだレザーミニトート
実用性を求めた声に、すべて応えるように仕様を組み立てていきました。
「貴重品入れられるようなポケットがあると良いかな〜」 → 裏地にファスナー付きポケットを設置。
「携帯が簡単に取り出せるように」 → 外ポケットを両側に配置。どちらの手でもアクセス可能。
「肩にもかけられるように」 → 持ち手をやや長めにし、柔らかい革で厚みを持たせつつ幅広に。
「鍵とかすぐ見つけられるように」 → バッグの内側上部にDカンを設け、キーホルダーが引っ掛けられるように。
「簡単に中を覗かれたり取られたりしないように」 → 開口部にはホックを取り付けて、さっと閉じられる仕様に。
ここまでやれば完璧だろうと、自分ではかなり満足していました。
「これなら文句なしだろう」と意気込んで見せたところ――返ってきたのはたったひとこと。
「重い」
確かに、ミネルバボックスに通しマチ、裏地、両サイドのポケット……
つい“しっかり作りすぎた”結果です。
革好きにとっては“頼もしさ”でも、日常のライトユースにはちょっとオーバースペックだったのかもしれません。
サンプルとして残ることの意味
このバッグはいま工房の棚で“サンプル山”のひとつとして眠っています。
使ってもらえなかったものの、決して無駄ではありません。
試行錯誤の中で得た気づきは、次のモデルや新しいデザインのヒントにつながっていきます。
軽量化を意識した革選びや構造をシンプルに保つ工夫などこの経験から生まれた改善点は少なくありません。
日常使いのバッグに必要なこと
今回の失敗から強く感じたのは、「日常使いのバッグこそバランスが重要」ということです。
革の質感や堅牢さは大切ですが、それ以上に日々持ち歩くことを想定すると、軽さや扱いやすさが優先される場合もあります。
レザーミニトートバッグというシンプルな存在だからこそ、過剰に作り込みすぎない“引き算の設計”が求められるのだと実感しました。


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