一点モノ・コンチョ──レザーオーダーバッグの「顔」をつくる
- AZZWELL
- 1月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2 日前
オーダーでご依頼いただいたレザーバッグ用にシルバー製の大ぶりなコンチョ(留め具)を製作しました。
今回のバッグは「これぞレザーバッグ」と言いたくなるような厚みと張りのある革を贅沢に使った凛とした佇まいのある一品。
そのバッグの表情を決定づける「顔」としての役割を持たせるためにコンチョのサイズやデザインにも特別なバランスを意識しています。
使用素材はシルバー。
中空構造などの軽量化はせずあえてしっかりとした重量感を持たせることで革と銀が対等に張り合うような存在感を出しました。
バッグ全体が放つ重厚な雰囲気に負けずむしろ引き締める役割を担うようシルバー本来の輝きと厚み、そして造で表現しています。

中央にあしらったモチーフは「蝶(バタフライ)」
羽ばたく瞬間を捉えたような曲線は動きと柔らかさ、そして生命力を感じさせるラインを意識しています。
立体的に膨らみを持たせることで見る角度によって印象が変わり静かな中にもどこか有機的な息づかいを感じさせる仕上がりになっています。
その蝶を囲むように配置した楕円のフレームには、細やかな文様をぐるりと一周彫り込み、繊細さと力強さの両面を引き出しました。

こうしたコンチョは見た目の華やかさだけではなく使い込むことで真価が問われるパーツでもあります。
手に触れ、風に晒され、時に傷を刻みながらシルバーは独特の艶を深めていきます。
今回のようにオーダーバッグの一部として組み込まれたときその経年変化はバッグ全体の雰囲気と呼応しながら使い手だけの表情を生み出していくはずです。
一点モノで仕立てるからこそ銀の厚みや模様、フォルム、さらには裏面の設計まで一つひとつに妥協なく向き合っています。
大量生産では得られない「空気感」を持ったコンチョをつくることが自分の仕事の醍醐味です。
レザーとシルバー、それぞれをどう共存させるか...
それを考える時間こそが一番おもしろいところかもしれません。
