ミリ単位の調整が生むシルバー925オーバルバックルベルト
- AZZWELL
- 2024年10月14日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前
ミリ単位の調整が生むオーダーベルトとシルバー925オーバルバックル
今回製作したオーダーベルトは、シルバー925オーバルバックルとイタリア・ワルピエ社のブッテーロレザーをミリ単位で組み合わせた一本です。
特徴的なのが、「21.5mm」というベルト幅。
一般的な20mmや24mmではなく、バックルのブリッジ幅に合わせてミリ単位で裁断した結果生まれた寸法です。革帯がぴたりと収まり、遊びやガタつきのない装着感が実現しました。
フォーマルシーンでも違和感なく、カジュアルな着こなしにも馴染む絶妙なバランスです。

ブッテーロレザーの魅力と仕上げの工夫
使用したブッテーロレザーは、しっかりとしたコシを持ちながらも使い込むほど艶が増し、色の深みが際立っていく植物タンニン鞣し革です。
今回のベルトには、ネン入れ仕上げを採用しました。
ネンを入れることで輪郭が強調され、全体がぐっと引き締まった印象に。
右側がネン入り仕様の写真では、同じ革でも仕上げひとつでこれほど印象が変わることを実感いただけます。革本来の風合いを大切にしながら、フォーマル寄りにもカジュアル寄りにも寄せられるのがブッテーロの強みです。

バックルと革の厚みに合わせた調整
ベルトの帯だけでなく、バックル自体も革の厚みに合わせて製作。
ブリッジの高さはほんの数ミリ違うだけで使い心地が大きく変わります。
今回は厚さ3mm前後のブッテーロに合わせ、ブリッジは低めに設定。
さらにピンの形状も楕円ホールに合うように叩き整形し、滑らかに磨き上げています。
こうした細やかな調整が、ベルトを装着した時のフィット感と快適さにつながります。
機能性と美観の両立は、手仕事ならではの積み重ねによって成り立っています。

剣先デザインがもたらす上品な存在感
剣先のデザインはベルト全体の印象を大きく左右する要素です。
今回は細身ながらも存在感が出るよう、角度や長さをミリ単位で微調整しました。
革の厚みによって最適な剣先形状は異なるため、その都度設計し直しています。
細身のベルトでも品格を損なわず、ジャケットスタイルにもデニムスタイルにも違和感なく馴染むように仕上げました。
上品さと実用性を兼ね備えた剣先は、一本のベルトを長く愛用する上で欠かせない要素です。

手縫いが生み出す強度と立体感
バックル留め部分は、すべて手縫いによって仕立てています。
一本一本の糸の締まり具合を確認しながら進めることで、機械縫いには出せない立体感と強度が生まれます。強い力が加わる部分だからこそ、耐久性と美観を兼ね備えた仕上げが必要です。
見えにくい部分にも時間と手間を惜しまないことで、日常的な使用に耐えうる確かな品質を実現しています。
積み重ねたディテールが一本の完成度を高める
今回のオーダーメイドベルトは、シルバー925のバックルとブッテーロレザーという上質な素材を用いながら、細部にわたる調整を積み重ねることで完成しました。
幅21.5mmという寸法、剣先の角度、バックルのブリッジやピンの形状、手縫いの糸締め。
小さなディテールの積み重ねが使い心地と美しさに繋がる—— そんな一本ができあがりました。
末永くご愛用いただければ幸いです。




