Archive Bag ミネルバボックス1枚仕立て──贅沢仕様のヘルメットバッグ(1956年モデル)
- AZZWELL
- 2021年3月28日
- 読了時間: 3分
更新日:6月21日
鞄づくりの中でも、ミリタリーデザインを取り入れたモデルは、素材や構造の工夫が試されるアイテムのひとつです。今回紹介するのは、数年前に製作したヘルメットバッグの続編ともいえる存在。
過去に紹介した初代ヘルメットバッグの詳細は、こちらの記事をご覧ください 以前のヘルメットバッグ

アメリカ軍で実際に使用されていたヘルメットバッグ(1956年型)をモチーフに素材と仕立てにとことんこだわったレザーバッグです。

このモデルでは、ボディにイタリア・バダラッシ社のミネルバボックスを使用。
しっとりとした触り心地と豊かな表情が魅力の高級皮革で今回はその特性を最大限活かすため、底面に一切ハギを入れず、贅沢にも一枚革で仕立てています。
制作途中の写真を見ていただくとその迫力が伝わるかと思いますが、なかなかこうした仕様は量産品では難しく、革の選定としても技術としても、チャレンジングな構成です。

ハンドルには同じくイタリア・バダラッシ社の「リスシオ」を使用。
手にしっとり吸いつくような感触で、持ち運ぶときの快適さにも一役買っています。
ファスナーは前作と同様に、大型のYKK No.8を採用。
開閉のストレスがなく、使い込むほどに味が出てくる無骨な仕様です。
そして今回のこだわりポイントのひとつがスライダーに使った素材。
通常の金属ではなくシルバー925で自作したスライダーを装着しました。
日常的に触れる小さな部分にもきちんと手をかけることで、全体の印象は一段と上質にまとまります。
デザインとしては一見、薄型コンパクトに見えるかもしれませんが、収納力は想像以上。
構造を工夫しているので必要な荷物はしっかり収まります。
日常使いにも対応できるサイズ感と構造で、見た目と実用性のバランスが取れているのもこのモデルの魅力の一つです。
しばらくサンプル置き場で眠っていたこのバッグ、久しぶりに手に取ってみると、「これはこれで新鮮だな」と思える出来映え。
素材の経年変化も程よく進んでいて、つくり手としての記憶とともに、また日常の道具として使ってみようかという気持ちになります。
こうしたバッグは、そのまま再販できるかどうかは別として「こういう作り方もできる」というアイデアの貯金のようなものでもあります。
一つひとつの鞄が、次の製作に活かされていく。
そんなサイクルの中でこのヘルメットバッグもまた、自分にとっては大切な一作です。
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