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自分仕様のカスタムオーダー財布、一生モノを仕立てる手仕事

既製品を超えて財布を一生モノの相棒にカスタムオーダーする贅沢

「自分だけの特別な道具を持ちたい」という願いは、こだわりのある大人なら誰もが一度は抱くものでしょう。今回ご紹介するのは、定番アイテムである「マルチケース(薄型財布)」をベースに、自分仕様で一生モノの相棒を仕立てたカスタム オーダー品です。


一見すると、黒一色のストイックでシンプルな佇まい。しかし、そこには既製品とは一線を画す「選択」の積み重ねが宿っています。素材の選定から、細かな縫製の調整に至るまで。お客様の理想を形にするために、財布を一生モノの相棒としてカスタムしオーダーしていただいた今回の製品は単なるカスタマイズを超え、一つの「作品」としての存在感を放ちます。


一見すると、黒一色のストイックな佇まい。しかしそこには、使い手の理想を丹念な手仕事で形にした「選択」の積み重ねが宿っています。単なる既製品では味わえない、自分専用に仕立てる贅沢。その魅力をご紹介します。


黒のサドルレザーミニ財布とシルバー925手彫り唐草コンチョ

どちらを選ぶ?「育てる」サドルレザーと「美しき」ブッテーロ

このマルチケースを語る上で欠かせないのが、革素材の選択です。

この製品では、主に2つの対照的な魅力を持つ革を提案しています。


まず、今回のオーダーで使用された「黒のサドルレザー」。

これは、厚みと力強いコシが特徴の、いわゆる「道具として育つ革」です。使い始めは堅牢ですが、使い込むほどに持ち主の手の形に馴染み、深い艶と柔らかさを増していきます。

アメカジや無骨なスタイルを愛する方にとって、これほど所有欲を掻き立てる素材はないでしょう。使い手の癖がそのまま革の表情となって現れるため、数年後には世界に一つだけの質感へと変化します。


一方で、イタリアの老舗ワルピエ社が手掛ける「ブッテーロ」も選択可能です。

こちらは繊維が密で発色が美しく、どんなスタイルにも馴染む上品さが魅力です。


また当工房では異なる2種の素材ごとに革の厚みを0.1ミリ単位で調整しています。「同じ製品」「同じ形」であっても、素材が変われば最適な厚みも変わります。

素材の特性を見極め、完成時のバランスや数年後のエイジング(経年変化)を計算して仕立てる。

「見えない設計図」こそが、長く愛用できる秘訣と考えています。


「縫製ピッチ」に宿る表情。手仕事だからこそ表現できる力強さ

縫製ピッチの比較

今回のオーダーにおいて、最も特徴的だったご要望が「縫製ピッチ(縫い目の間隔)を少し広めに」というものでした。一般的な革製品では、縫い目が細かいほどエレガントに見えますが、あえてピッチを広げることで、糸一本一本の存在感が際立ち、全体の印象はよりラフで力強いものへと変化します。


この繊細なニュアンスを実現するため、一針一針「手縫い」で仕立てました。

使用した糸は、フランス製の麻糸「Fil Au Chinois(フィル・オ・シノワ)」。世界中の高級メゾンでも愛用されるこの糸の中から、今回は通常よりも一段太い番手を選択することで黒のサドルレザーに負けない、確かな主張を持つステッチラインを描き出しています。


黒の革財布を手縫いで仕立てている

実は、このマルチケースに関しては、通常仕様でも他の製品よりやや広めのピッチ設定と太めの糸を使用しています。それは、この製品が「タフな道具」であることを象徴するアイコンだからです。

糸の太さとピッチの微妙な組み合わせひとつで、製品の表情、見え方は変わります。

「ゆらぎ」と「力強さ」の絶妙なバランスは、量産品には決して真似できない、温かみと説得力を備えています。


構造美を支える「見えない仕事」

仕立てる製品で心掛けるのは、表面的なデザイン以上にその「構造」を意識しています。

使いやすさなどの機能面はもちろん、できれば一生モノとして長くお使いいただくため、裁断の段階から細心の注意を払っています。

革を切り出す際は、なるべく傷を避けつつ、革の繊維が流れる方向(革目)をひとつずつ見極め、どのパーツにどの部位を当てるのが最適か。


また、手触りと耐久性を左右するのが「漉き(すき)」という、革の厚みを整える工程です。厚みの異なるパーツが重なる部分には、微妙な加減で漉き調整を施します。単に全体を薄くして扱いやすくするのではなく、構造を維持するために「薄くなりすぎない絶妙な厚み」を残すことを常に意識しています。


そして、言葉を尽くすよりも実物を見ていただければ伝わると考えているのが、革の断面である「コバ」の仕上がりです。幾度も重ねて磨き上げられたコバは、ただ美しいだけでなく、末長く使えるだけの堅牢な耐久性を備えています。こうした目に見えにくい地道な手仕事の積み重ねこそが、何年経っても崩れない確かなフォルムを支えると考えています。


さらに、財布の顔とも言える留め具には、大ぶりのシルバー925製コンチョを配置しました。

今回のオーダーでは、隙間なく唐草模様を彫り込んだ「フルカスタム仕様」を採用。

黒のサドルレザーと銀のコントラストが全体をより一層引き締めています。


※このコンチョ製作の工程については以下の別記事参照ください

👉 [(準備中)コンチョ製作の裏側:フルカスタムの唐草彫り]


全面に手彫りで唐草模様を手彫りしたシルバー925コンチョ

「自分専用」を形にする。あなただけの日常

「オーダー」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれません。

しかし、AZZWELLが提案するのは、もっと自由で軽やかな選択です。すべてを一から決める必要はありません。

たとえば、所有している材料の範囲内であれば、「糸の色を少し変えたい」「縫い目の間隔を広げてワイルドにしたい」といった微調整などは、追加料金なしで承ることも可能です。

一方で、今回のコンチョのように「ここだけは徹底的にこだわりたい」というポイントがあれば、お客様の理想の形を可能な限り具現化します。


大切にしているのは、完成した瞬間の美しさだけではありません。

使い続ける中で革が馴染み、傷が味になり、少しずつお客様自身の “自分の道具” へと育っていく「余白」を何より大切にしています。完成した瞬間に100点満点を目指すのではなく、使い込まれることで120点、150点へと価値が増していくこと。

「ほんの少しの自分仕様」を施すことで、日常の何気ない会計の瞬間が、ちょっとした特別なひとときへと変わり、ご自身で構想を練る製作前から、完成、そして何年も使い込んでいく過程まで含めて、自分仕様にカスタムし一生モノの財布を仕立てる楽しさを味わっていただければ幸いです。


<カスタムオーダーのベース商品>


手彫り唐草シルバーコンチョがついた黒革財布

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