鹿革の表情を活かす判子ケースと収納袋の製作
- AZZWELL
- 1月5日
- 読了時間: 2分
更新日:8月28日
上質な鹿革で仕立てる判子ケース
今回製作した判子ケースは鹿革を使用し、柔らかさとしなやかさを兼ね備えた仕立てです。
以前ご注文いただいたお客様からの再依頼で、喜んでいただけたことは作り手として大きな励みになりました。
革の自然なシボや質感を活かしたシンプルなデザインは、判子を出し入れする際の使いやすさと美しさを両立、手に取った瞬間に感じる滑らかさは鹿革ならではの魅力です。

収納袋にも求められる柔軟性
今回は判子ケースに加え、新たに収納袋も製作しました。
ケースとは異なり、袋物には開閉のしやすさや革の可動性が求められるため、薄くきめ細やかな鹿革を選定。
仕立ては昔ながらの巾着袋の構造をベースにしつつ現代的な使い勝手を意識して少しだけアレンジを加えています。
勝手ながらですが……
開口部の収まりや折りたたんだときの納まりの良さなど使っていく中で「気持ちいい」と思えるような仕様を目指しました。
古い道具や袋物の構造には無駄のない美しさがあります。
決して派手ではありませんが取り都合の良さや開閉のしやすさ、シンプルな縫製で十分な耐久性がある点など見るたびに学ぶことが多くあります。
ただし、布と違って革は一枚一枚表情が異なるため裁断が悩ましい工程になります。
キズ、伸び、シワなどの位置を見極めながらデザインに響かないよう取り都合を考える必要があるのです。
型紙通りに切れば良いというものではなく素材と対話しながら仕立てていく——
それが手仕事の醍醐味でもあります。


光と角度で変化する表情
今回使用した鹿革は非常に繊細で滑らかな質感を持っています。
特に収納袋に使った革は表情が非常に豊かで見る角度や光の当たり方によって異なる表情を見せてくれます。
アップで見ると分かるようにディアスキン特有の「やわらかい強さ」を感じさせてくれます。
こうした素材の魅力を最大限引き出すためシンプルに革そのものを際立たせる仕立てを選びました。

日常に寄り添う手仕事の喜び
判子ケースや収納袋といった小物類は日常の中でふとした時に触れる機会の多い道具です。
そうした場面で手にしたときに少しだけ気持ちが良くなる——そんなものづくりができればと思っています。
今回のように同じお客様から繰り返しご依頼をいただけることは大きな励みです。
使う人の生活の一部として道具としての完成度を高めつつ素材の力を活かす手仕事をこれからも続けていきたいと思います。



