圧倒的な存在感〜手彫り唐草カスタムオーダーシルバーコンチョ
- AZZWELL
- 1月20日
- 読了時間: 4分
シルバー925コンチョを手彫りカスタムオーダーする理由
今回製作の品物の印象を静かに引き立てる「顔」とも言える存在が、シルバーコンチョです。
カスタムオーダーいただいた手縫い財布の留め具としてお作りしたのは市販品ではなかなか見られない、緻密に彫り込まれたシルバー925製の「手彫り唐草コンチョ」
鏡面に磨き上げた銀の表面に、タガネを一筋ずつ走らせて模様を刻んでいく。その小さな積み重ねの時間が、少しずつコンチョに表情と奥行きを与えていきます。
「なぜそこまで手間のかかる手彫りにこだわるのか」と尋ねられることがありますが、それは、手仕事ならではの輝きや温度感を、手に取る方に感じていただきたいからです。
機械による均一な彫りではなくタガネの微かな揺らぎが生み出す表情には、どこか人の手の気配が宿ります。
その一つひとつ異なる痕跡こそが“世界に二つとない一点モノ”である証となり、持ち主にとって「自分だけの特別なもの」と感じていただける一因になればと考えています。
この記事では、鏡面仕上げのシルバーが、繊細な唐草模様を纏い、長く使えるカスタムパーツへと仕上がっていくまでの製作工程をご紹介します。
リズムを作る模様の「始まり」へのこだわり
製作の第一段階は、コンチョの外周に「雫」のような模様を一つずつ打ち込んでいく作業から始まります。
写真にある通り、まだ模様の入っていない外周の余白部分へ等間隔に、一つ一つ、なおかつ正確な角度で刻印を施していきます。
この外周の装飾は、単なる縁取りではありません。これから中央に彫り進める唐草模様を際立たせるための「額縁」のような役割を果たします。
一つでもズレれば全体の調和が崩れるため、全神経を集中させて一打一打を積み重ねていきます。
この雫の模様が入ることで、銀の表面に規則的なリズムが生まれ、これから始まる手彫り作業の土台が完成します。

流れと動きを描き出す。銀の表面に命を吹き込む「唐草模様」
土台が整うと、いよいよ「唐草模様」を彫り進める本番の工程に移ります。
写真でご覧いただけるように、始まったばかりの一本の線が、徐々に重なり合い、絡み合いながらコンチョ全体を少しづつ覆い尽くしていく様子は、自分自身も彫っていて心が引き締まる瞬間です。
唐草彫りにおいて大切にしているのは、始まりから終わりまで、銀の表面にどのような「流れ」や「動き」を生み出すかという点です。
硬い銀の表面に、生き生きとした植物のような躍動感を持たせるために、仕上がりの立体感をイメージしながら、力強く、時には繊細にタガネを走らせていきます。
隙間なく彫り込まれた模様は、一つとして同じものは生まれません。
この絶妙な「ゆらぎ」や「流れ」こそが、手彫りならではの贅沢であり、量産品にはない温かみを感じていただけるポイントだと思っています。
一つひとつの線に命を宿すような気持ちで、理想の完成形を追い求めています。


重厚な陰影が生み出す一生モノの存在感
このコンチョの特徴は、完成した瞬間に放たれる「陰影」にあります。
平滑な鏡面仕上げとは異なり、全面に施された手彫りの彫刻は、光の当たる角度によって刻一刻とその表情を変えます。
特に、カスタムオーダーのベースとなる「黒のサドルレザー」と組み合わせた際、その真価を発揮します。
革が持つマットで落ち着いた質感と、銀が放つ鋭くも重厚な輝き。
この「黒と銀」のコントラストが、財布全体の印象をぐっと引き締め、唯一無二の高級感を演出します。
もちろん、このコンチョは単なる飾りではありません。
「留め具として機能し、使いやすさを支えて初めて完成する造形」であることを意識し、厚みやサイズ、配置を決定しています。
共に時を刻む「自分仕様」の証。手彫りだからこそ増す愛着
使い込むことで革の艶が増し、シルバーコンチョの表面には小さな傷が刻まれていく。
その時、このコンチョはさらなる深みを増し、持ち主と共に歩んできた時間を証明する証となるはずです。
手彫りの模様は、長年の使用で陰影も色濃く、より肌に馴染むような落ち着いた輝きへと変化していきます。それは、製作前から完成、そして何十年と使い込んでいく過程まで含めて楽しむ「自分仕様」の醍醐味です。
今回ご紹介したフルカスタムの唐草彫りのように、「ここだけは譲れない」というこだわりを形にできるのがパーソナルオーダーの魅力です。自分だけのストーリーを刻む「一生モノ」のパーツが、日々の生活に静かな彩りを添えてくれることを願っています。
<サドルレザーに取り付けた完成形は下記製作記事>




